AI電話とIVR(自動音声応答システム)の比較
現在、企業のコンタクトセンターやコールセンターでは、技術的なソリューションが導入されており、時間とコストの両方の効率化に役立っています。企業のヘルプデスクに電話をかけても、オペレーターや他の従業員に、いきなりつながり話すことは少なくなってきています。今日では、IVRシステム(自動音声応答システム)に出会うことが多いでしょう。運が良ければ、より反応が良く、親しみやすいAI(人工知能)電話に出会うことがあるかもしれません。でも、AI電話の利点は何なのでしょうか?AI電話は従来のIVRより良いのでしょうか?
AI電話とIVR(自動音声応答システム)の比較
IVRは必要不可欠なツールであると多くの人が考えています(悪しき必需品ではあるが)。しかし、今後数年のうちにIVRはAI電話に取って代わられるだろうと言われています。ひとつ確かなことは、どちらのツールも利点があり、カスタマーサービスへの電話を接続したり、自動化する点では利点があるということです。
AI電話って何?
例えばマイクロソフト・ボット・フレームワークには、ボットが電話でコミュニケーションをとることができるテレフォニー・チャネルが含まれています。このサービスは、AzureボットフレームワークとAzureコミュニケーションサービスおよびスピーチサービスを組み合わせて提供されています。正式リリース前の開発中の段階で試験的に公開される、電話対応チャネルの公開プレビュー版は、米国に拠点を置くすべてのAzureのサブスクリプション契約で利用可能です。
営業チームやカスタマーサービスチームの仕事を補完するために、電話ボットはサポート宛ての着信電話を受けたり、見込み顧客に営業電話をかけることもできます。
AI電話で何ができますか?
どのような組織でも、AI電話を様々な方法で取り入れることができます。
- 合成音声や録音されたメッセージを使って電話応対が可能。
- よくある質問(FAQ)に回答します。
- 電話のやりとりを録音したり、文字起こしを行いテキスト化する。
- 特定の条件で電話を別の番号に転送する。
- 会話を解析し、条件分岐したり、管理するためのルールや条件を設定する。
- AI電話 は事前に録音した人間の音声を再生することもできます。
- アンケート、情報収集
- (API連携をして)クレジットカード決済
- 着信電話の待ち行列処理
- 予約をしたり、アポイントメントを取ることも可能
AIを活用した顧客サービスのメリット
AI電話は、IVR(自動音声応答システム)の進化版です。このシステムは、連絡を受けたお客様を適切な担当者や部署に転送するIVRと似ています。違いは、お客様と対話できる点です。お客様は、実際の人間と同じようにAI電話に話しかけることができます。
また、無人対応・セルフサービスを好む人をサポートするために、AI電話を活用するのも良いアイデアです。自分たちで対応できるような簡単な問い合わせには、人間のオペレータを雇う必要はありません。AI電話は、顧客の回答を聞き、適切に電話を処理することができます。
更に効率的で費用対効果の高いのは?
AI電話は、お客様の質問や回答に素早く反応することができます。反応速度の向上は、お客様にとって迅速な解決策につながります。その結果、肯定的な顧客体験が増加します。
人間と違って、AI電話は何百もの電話を短時間で処理することができるので、生産性が向上します。電話応対自動化の取り組みにより、費用対効果は改善するので、企業は人間の従業員をより適切な分野で活用することができます。
AI電話 もクラウドシステム内に構築されているため、専用の新しいハードウェアは必要ありません。
IVRとは?
IVR(自動音声応答)を搭載したビジネス電話システムは、電話をかけてきた人に情報収集のためのメニューを提供します。電話をかけてきた人に番号をプッシュしてもらい、その答えに応じて次のアクションを行います。
IVRは、顧客満足度を高める場合もあり、コンタクトセンターの効率を向上させます。IVRは、お客様が自分で答えを見つけたり、簡単な作業をしたりするのを助けることで、電話が集中しているときの保留時間を短縮することができます。IVRは、人と話す必要がある、または話したいお客様を、最適なコールセンターのオペレータに転送するのに役立ちます。
IVRとは、銀行などの組織の電話番号に電話をかけたときに、自動メッセージで番号選択を促される経験をしたことがある方にはおなじみのものです。
IVRで何ができますか?
IVRでは一般的に、電話をかける人が選択した内容を使って通話を振り分けます。これにより、電話をかけてきた人は、請求部門、技術サポート、または人間のオペレーターに連絡を取りたいのかを選択することができます。
さらに、プロモーション情報や最新情報、その他の重要な情報や各種案内する際にも使用されます。例えば、通話が録音されることを示し、それでも通話を続けるかどうかを尋ねるような場合です。
IVRシステムは、従来はコールセンターでしか使われていませんでした。しかし、IVRシステムはその誕生から長い年月を経て、現在ではお客様にセルフサービスの選択肢を提供するために、簡単な作業の自動化によく使われています。その目的は、コールセンターの担当者が通常対応するような、お客様の簡単な問題や質問に対応することです。
具体的に、いくつかの簡単な事例をあげてみましょう。
- 口座残高照会
- アカウント情報の取得
- パスワードやPIN番号の変更
- 情報の検索(価格、分類など)
- アンケートへの番号での回答
- 少額の支払いや資金移動
IVRの欠点
IVRシステムは、コンピューターとの会話を嫌う人が多いという最大の欠点があります。電話メニューや長い説明は、高齢者にとっては理解しにくいものです。また、電話メニューが遅いと、若い人たちはイライラしてしまいます。
メニューの選択肢が少ないビジネスでは、それ以上のメニューを必要とするビジネスよりもIVRの恩恵を受けることができます。例えば、10個の質問からなるFAQメニューがあれば、お客様はある程度簡単に電話をナビゲートすることができます。しかし、30個とか数百個のFAQがある場合、選択肢の回答を続けるうちに多くの電話のお客様は自分で解決策を見つける前に挫折してしまうでしょう。
これにより、IVRで不満を感じているお客様と、振り分けされて電話にでた人間のオペレータの間に、最初から緊張感が生まれてしまいます。
従来のIVRシステムでは、最終的に回答にたどり着くまでに「#1を押してください」というようなやり取りが何度も必要でした。これでは、お客様が問題を抱えているときにカスタマーサービスに電話するのを避けることになってしまいます。すべてのビジネスは簡単にアクセスできるべきであり、従来のIVRではこれが不十分なのです。
また、IVRシステムの中には、通話の分岐を行うだけで、必要なデータや記録を収集しないものもあります。
どれがベストか?
AI電話もIVRも、それぞれメリットとデメリットがあります。目的、システムのサービス内容、生産性、コストなどを考慮して、どちらが自社に適しているかを選択することが重要です。